まるで、スポットライトを浴び全世界が僕のことを注目しているかのような気分だ。 入り口に辿り着くなり、おもむろに辺りを見回す。 相も変わらず、青二才どもの下らぬ戦いが繰り広げられていることを確認する。 さらにゆっくりと奥に足を運ぶ。 腕を組み、くわえタバコにしかめっ面で、ただ一心にモニターを見つめる。 対戦相手が獣のように暴れているザンギエフになると、おおよその見当はついていた。 いよいよ出陣の時は来た。 高揚する気持ちを抑え、ためらいもなくディージェイを選択する。 ラウンド1、パーフェクト。 ラウンド2、パーフェクト。 変わり果てたディージェイを見ながら一言、捨て台詞。 「今日はこれぐらいにしといたる。」 精一杯戦った自分に酔いしれながら、そそくさと立ち去る。 自転車に乗りながら再び格闘の歴史に残る今日の一戦を思い出す。 そして改めて自分は世界一の格闘家であることを実感し、自転車を降りてファイティングポーズをきめる。 |