朝、目が覚めた
今日は何月何日だろう、あー、わからない
でもそんなことどうでもいい
まだ、雪があるから完全に春じゃない
ジャーに入っているごはんと、たまごを落としたみそ汁を食べ、
食器を洗い、洗濯機を一回、まわす
つけ放しのTVの前に座り、NHKの朝のドラマを観る
雑然とした本棚に一冊の小さいアルバムをみつけ、広げてみる
あらー、なつかしい、あの時の写真だわ。
そういえばこのときは、ああだった、こうだった、思いめぐらす
社会と断絶した頭の中は、思いでばかり、ぐちゃぐちゃに詰まっている
手足のしびれがきになる、近所の整形外科へリハビリに出かけ、
わずかの時間、現実から逃避する
外に出ると、目の前のセブンイレブンに足が向く
お昼ご飯にあんパンを買いに、孫のためにお菓子を買う
一日中TVの前に座り、何十年も同じ部屋の中を見回す
一冊の文庫本を見つける、澤地 久枝の「女たちの昭和史」
私が買ったんじゃない、でも読んでみるか
最後の一行を読んだだけで、頭の中を私の人生が駆けめぐる
ぐるぐる、自分の人生を回顧する
物音で我に返ったとき、窓の外は夕闇
お腹が空いた実感もないまま、冷蔵庫の扉を開け
朝の残りのおつゆと、ジャーのごはんを食べる
食器を洗い、又、TVの画面を観続ける
頭の中は楽しい過去の毎日、ふっと時計を見ると、9:30
ふとんを敷いて寝るとするか、と床に入る
そういえば、父さん、今日も病院でもう寝たかなと思いながら
頭の中は、又、グルグル若かりし自分たちの思い出
眠れないわと寝返りうちながら、何となく、何か、楽しい思い出はなかったかと
子供の顔を思い返してみる